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書評

ピエール・ルメートルが贈る洒脱な復讐劇『炎の色』

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『炎の色』は、何が書いてある本?

前作『天国でまた会おう』にも増してデュマっぽさ溢れるエンタメ復讐譚です。

莫大な遺産を相続した女に襲いかかる魔手。窮地に立たされた彼女が選んだ道とは?『その女アレックス』の名手による傑作登場!

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
1927年2月、パリ。一大帝国を築いた実業家の葬儀が粛々と進んでいた。しかし出棺のとき、思いがけない悲劇が起きる。故人の孫、七歳のポールが三階の窓から落ちたのだ。故人の長女マドレーヌは亡父の地位と財産を相続したものの、息子の看護に追われる日々を送る。しかし、そのあいだに、彼女を陥れる陰謀が着々と進んでいた…。ゴンクール賞および英国推理作家協会賞を受賞した『天国でまた会おう』待望の続篇登場!

ピエール・ルメートルの純文学エンターテインメントである前作『天国でまた会おう』の書評はこちら。『天国でまた会おう』は映画化され、日本でも2019年公開されました! 『天国でまた会おう』の主人公エドゥアールの姉マドレーヌが今作の主人公です。物語は前作とは独立しており、これ単体で楽しめます。大統領とも親しい財界の大物銀行家を父に持つマドレーヌでしたが、父の死を境にブルジョア女性としての世間知らずさから周囲の裏切りに遭い、零落してしまいます。車いす生活となった息子ポールを抱えながら、すべての陰謀を知ったマドレーヌは復讐の炎を燃やし――。

どんな人にオススメ?

デュマ好きな作者が満を持して贈る華麗にしてエスプリあふれる復讐劇、ですから復讐劇愛好家の皆さんに今回も特におススメいたします! 戦間期ヨーロッパ好き、オペラ好き、仏独政治モノ、戦闘機エンジン開発マニアにも楽しめる物語となっております!


yonderumonの注目ポイント!

マドレーヌの息子ポールは、七歳にして思いつめた自殺行為の末に半身不随の車椅子生活となってしまいます。時代的な不自由さもあって、希望の閉ざされた人生になってしまうのかと思いきや、ポールは彼自身の才能と賢さによってどんどん人生を切り拓いていくんですよね。世紀の歌姫・オペラ歌手ソランジュとのチャーミングで心温まる交流や、祖父譲りの才覚、そしてポーランド人看護婦をはじめとするサポートチームの魅力たるや……。悲劇では終わらない逞しさと爽快な魅力ある物語がポールを中心に展開します。




次に手にとるのはこんな本!




 

 

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