『天国でまた会おう』は、何が書いてある本?
大ヒットミステリ『その女アレックス』の著者が送る、感動小説です。純文学、家族小説、戦争小説、エンターテインメント、ピカレスクロマン……何れの要素をも含みつつ、ジャンルを越えた面白さを持つ小説です!
第一次世界大戦の前線。生真面目な青年アルベールは、ある陰謀により死にかけたところを気まぐれな戦友エドゥアールに救われた。やがて迎えた終戦だが、帰還した兵士たちに世間は冷たい。絶望した二人は犯罪に手を染めるが――『その女アレックス』の著者が放つ一気読み必至の傑作! フランス最高の文学賞、ゴンクール賞に輝いた長篇。
アルベールを救けたエドゥアールは砲弾で重傷を負ってしまいます。一命はとりとめるものの、顔の半分を失ってしまうのです。実はエドゥアールは裕福な名家の息子なのですが、もともと父親と反目していて、戦争が終わってもその負傷した体で家に帰ることを良しとせず、戦死をよそおい、アルベールと一緒に暮らし始めるのでした。
生来が芸術家肌で奔放なエドゥアールは奇抜な仮面づくりで不自由な生活をまぎらせながら、困窮からの一発逆転を狙ってとある大がかりな詐欺計画を思いつくのですが――?
どんな人にオススメ?
著者のルメートル自身が「私にとって最高の小説とはデュマが筋を考え、トルストイが語ったようなもの」と発言しているように、この小説はどこか『モンテクリスト伯』のリーダビリティを思わせるところがあります。善人から悪人、そのどちらでもない人々に至るまで登場人物がそれぞれキャラ立ちしていて魅力的なのです。『その女アレックス』のような驚愕のどんでん返しはありませんが、この小説は間違いなく頁の先の展開が気になって気になって仕方なくなるエンターティンメント作品です!
yonderumonの注目ポイント!
そもそもアルベールとエドゥアールを悲劇に陥れた悪辣な上官プラデル。落ちぶれかけた貴族の家系で上昇志向が強いプラデルはエドゥアールの姉マドレーヌをたらしこんでちゃっかり結婚。コイツがほんとに救いようのないワルです。ワルで小物です。憎々しい悪役プラデルの活躍とその顛末にご期待ください♪
また、本書のなかで大きな存在感を持つのはエドゥアールの実家ペリクール家。父親のペリクール氏とエドゥアールの父子の愛憎劇の展開に心揺さぶられること必至です。
次に手にとるのはこんな本!
(2020/3/8追記)三部作の第二弾『炎の色』も出ています! 書評はこちら